上部尿路の解剖と機能

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  • ANATOMY AND FUNCTION OF THE UPPER URINARY TRACT

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抄録

上部尿路 (腎杯, 腎盂, 尿管) の組織学的及び肉眼的構築について, さらには神経支配について述べ, また腎で生成された尿を膀胱まで搬送する生理的尿輸送機能について実験的あるいは臨床的検査成績をもとに述べた. 生理的には腎杯近位部に存在する pacemaker system が尿搬送に重要であることが証明されているが, 臨床的には pacemaker system の存在は必ずしも必要ではない. その証拠に腎盂形成術, 腎盂切石術など pacemaker activity を障害する手術後にも上部尿路の尿搬送機能には影響を与えないからである. 次ぎに神経による上部尿路機能への支配については, 電顕的, 組織化学的な検討から, あるいは腎移植後にも尿搬送能は維持されることから優位な支配はしていないものと考えられる.<br>さらに種々病態での上部尿路通過障害時の尿搬送能について述べ, 尿搬送は尿管蠕動のみでなく, 物理的にも行われることを示した. そうした根拠をもとに今日, ステントカテーテルあるいは経皮的尿路変更術などが臨床で広く行われるようになった. 先天性水腎症の成因については今日なお詳細は不明である. しかし尿路の変化に対応して bolus volume を変えられる腎盂尿管移行部の生理的な漏斗状の形態を内視鏡的, あるいは手術的に形成することにより尿搬送能が改善されることから, 腎盂尿管移行部の機能的疾患であることは間違いない. 最後に上部尿路機能に関する研究は単に実験的なものに留まることなく, 常に臨床と密着してその機能を研究することが重要であることを加えた.

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