陰嚢内腫瘍の臨床的検討

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  • INTRASCROTAL TUMORS: A CLINICOPATHOLOGIC STUDY OF 15 CASES

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抄録

(目的) 当院で経験した陰嚢内腫瘍 (胚細胞精巣腫瘍を除く) について臨床的に検討した.<br>(対象と方法) 1977年から1998年の22年間に筑波大学附属病院を受診した陰嚢内腫瘍は120例である. そのうち, 胚細胞精巣腫瘍を除く15例 (12.5%) を対象とした. 年齢は2~77歳, 平均49.6歳であった.<br>(結果) 主訴は陰嚢の無痛性腫大が多かった. 腫瘍重量は2~200g (平均104.6g) で, 疾患の内訳は悪性リンパ腫8例 (精巣初発7例), 傍精巣横紋筋肉腫2例, 転移性腫瘍2例 (胃癌, 前立腺癌) であり, 類表皮嚢胞, 精巣被膜嚢胞, 腺腫様腫瘍がそれぞれ1例ずつであった. 悪性リンパ腫は Stage I が2例, Stage IV が6例であり, 病理組織型は全てが non-Hodgkin's lymphoma (NHL) であった. 悪性リンパ腫には, 手術および化学療法を施行し, 予後は生存3例, 死亡5例と不良であった. 一方, 転移性の2例はともに原病死したが, 傍精巣横紋筋肉腫の2例は生存中である.<br>(結論) 胚細胞精巣腫瘍以外の陰嚢内腫瘍は比較的稀であるが, その病態は多彩な疾患が含まれており, それぞれに的確な診断および治療が必要である. 特に, 精巣初発の悪性リンパ腫は退形成セミノーマとの鑑別が難しいことがあるので注意を要する.

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参考文献 (19)*注記

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