S状結腸利用新膀胱 (Reddy 法) における尿道吻合の難易度

書誌事項

タイトル別名
  • THE DIFFICULITY OF URETHRAL ANASTOMOSIS IN SIGMOID NEOBLADDER
  • THE ROLE OF PREOPERATIVE X-RAY OF AN AIR-CONTRAST BARIUM ENEMA
  • 術前大腸X線所見からの検討

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抄録

(目的) S状結腸利用新膀胱 (Reddy 法) は膀胱全摘術後の新膀胱による尿路変更として代表的な方法であるが, 時に新膀胱尿道吻合に苦労するケースに遭遇する. 今回, 術前注腸X線の所見と, 手術時の新膀胱尿道吻合の難易度とを対比させ, 注腸X線所見から新膀胱尿道吻合の難易度を検討した.<br>(対象と方法) 膀胱全摘除術後 Reddy 法による新膀胱造設を5例に行った. 5例中3例は新膀胱尿道吻合が容易であり, 2例は難渋した. 術前の注腸X線において, S状結腸の長径, 内径, 走行パターン, 可動性 (直腸S状部の挙上性で表現) を測定し, 手術時の新膀胱尿道吻合の難易度との関係を検討した. また当院において様々な主訴により行われた75例の注腸におけるS状結腸所見も同様に検討した.<br>(結果) 吻合が容易であった3例は平均長径45.7cm, 難渋例は33.5cm, 全症例平均47.5cm. 内径は吻合容易例49mm, 難渋例33.5mm (全症例平均44.4mm). すなわち平均的なS状結腸の長径, 内径があれば新膀胱尿道吻合は容易であることがわかった. 走行パターンはN型, l型, その他に分類できた. S状結腸の長径に差はないが, その他の群はN型に比して内径が有意に狭く新膀胱尿道吻合には不利と考えられた.<br>また吻合容易例は注腸像におけるS状結腸可動性が良好で, 全例岬角を越えて頭側へ挙上し, 難渋例は可動不良であった. 全80症例の検討でもS状結腸可動良好例のS状結腸の長径51.7mmで, 不良例より有意に長径が長かった(p<0.0001).<br>(結論) 平均的なS状結腸の長径, 内径があれば新膀胱尿道吻合は容易であることがわかった. 注腸でS状結腸可動性が良好の所見が得られれば長径を測定しなくとも充分長いS状結腸であると判断でき Reddy 法のよい適応と考えられた.

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