泌尿器科疾患における血清中可溶性インターフェロンα/βレセプターの意義

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タイトル別名
  • ANALYSIS OF SERUM SOLUBLE INTERFERON α/β RECEPTOR LEVELS IN PATIENTS WITH UROLOGICAL DISEASES
  • ANALYSIS OF SERUM SOLUBLE INTERFERON ^|^alpha;/^|^beta; RECEPTOR LEVELS IN PATIENTS WITH UROLOGICAL DISEASES

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抄録

(目的) 泌尿器科疾患における可溶性インターフェロンα/βレセプター (soluble Interferon-α/βreceptor: sIFNα/βR) に関する検討はまだ十分なされていない. 今回, ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を用いたサンドイッチ Enzyme Linked Immunosolbent Assay (ELISA) 法による細胞膜外部分のsIFNα/βRの測定系が確立されたので, 各種泌尿器科良性疾患, 膀胱癌, 腎細胞癌, 前立腺癌の血清中sIFNα/βRを測定し臨床的意義について検討を行った.<br>(対象と方法) 健常コントロール22例, 良性疾患50例 (尿路結石症16例, 前立腺肥大症13例, その他21例), 膀胱癌49例, 腎細胞癌30例, 前立腺癌36例を対象として, 血清中sIFNα/βR値をELISA法により測定した. 臨床検査値との相関, 各疾患群における血清中 sIFNα/βR値の比較, さらには悪性腫瘍患者における臨床病理像との比較解析を行った.<br>(結果) 各疾患における血清中 sIFNα/βR値 (pg/ml) は, 健常コントロール (1,709.5±346.7) に比し, 尿路結石症 (2,370.6±640.6, p=0.0002), 前立腺肥大症 (2,121.1±550.6, p=0.0103), 膀胱癌 (2,512.3±1,012.3, p=0.0006), 腎細胞癌 (2,686.4±1,510.9, p=0.0046), 前立腺癌 (3,188.7±1,788.0, p=0.0003) ともに, 有意に高値を示した. 各種血液学的検査結果との比較では, 血清中クレアチニン値との相関が認められたが, その他の検査結果との相関は認めなかった. また, 血清中 sIFNα/βR値と膀胱癌および前立腺癌における臨床病理像との比較では, 実測値および血清中クレアチニン値による補正値 (Cr補正値) ともに有意な相関は認めなかった. 一方, 腎細胞癌では, 進行例および異型度の強い症例においてCr補正値が高値を示したが, 統計学的に有意ではなかった.<br>(結論) 血清中sIFNα/βR値は各種泌尿器科疾患において高値を示した. 血清中 sIFNα/βR値の臨床応用の可能性を評価するためには, 今後さらに多数例における詳細な検討が必要と思われた.

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