男性ホルモン剤内服中に発見されホルモン療法が著効を示した前立腺癌の1例

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  • A CASE OF LOCALLY ADVANCED PROSTATE CANCER WITH LOW SERUM TESTOSTERONE ASSOCIATED WITH INTAKE OF AN ANDROGENIC MEDICINE

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抄録

症例は74歳男性. 2年半前から薬局で購入したメチルテストステロンを含む男性ホルモン剤を強壮目的に週に2~3回内服していた. 食欲不振にて近医を受診した際, 直腸診上前立腺の硬結を指摘され当科に紹介された. PSAは41ng/mlと高値で, 前立腺は全体に硬く, 一部表面不整血中テストステロン値は23.5ng/dl, 血清LHは0.5mIU/mlと低値であった. 前立腺生検にて中分化腺癌, Gleason score 3+4の診断, CTにて右閉鎖リンパ節腫大を認め前立腺癌 stage D1 (T3aN1M0) と診断した. テストステロン値は除睾レベルであったがテストステロン製剤の中止により血中テストステロンが上昇することが危惧されたため, 治療としては combinationan drogen blockade (CAB) 療法 (LHRH agonist+ビカルタミド) を開始した. 6ヵ月間のホルモン療法によりPSAは正常化, リンパ節転移巣も縮小したため, 前立腺全摘術と限局骨盤内リンパ節郭清術を施行した. 病理組織学的にはpT2bN0, 前立腺癌取扱い規約による組織学的効果は grade 2であった. 術後8ヵ月後にはテストステロン値はほぼ正常値まで回復した (288ng/dl) が, 12ヵ月以上の間PSAは測定限界以下で再発の兆候を認めていない. 外因性の男性ホルモン剤服用中の前立腺癌症例においては血清テストステロン値が低く抑えられていてもCAB療法が有効であることが考えられた. また, テストステロン低値の前立腺癌患者では市販強壮薬の服用歴に関する問診も忘れてはならない.

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