脊損患者の泌尿生殖器障害に対する臨床的研究第一報 : ペニスロッド挿入陰茎形成手術による尿失禁対策および性交障害の治療について

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タイトル別名
  • CLINICAL STUDIES FOR THE MANAGEMENT OF UROGENITAL DYSFUNCTION IN PATIENTS WITH SPINAL CORD INJURY : 1. Noninflatable Penile Prosthesis for Management of Urinary Incontinence and Sexual Disability

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抄録

神経因性膀胱患者(頚損10,脊損23,馬尾障害3,二分脊椎1)37例の尿失禁の集尿器対策および性交障害治療目的で,白井によって考案された高研株式会社製Penile Implantを用いて陰茎基部背面切開法でペニスロッド挿入手術をおこなった.使用したペニスロッドのサイズは12cmおよび13cmが多かった.35例(95%)に手術が成功し2例は感染のためペニスロッドが術後約1カ月で脱出した.経過観察期間6〜46(平均19)カ月でみると,肥満のために埋没陰茎状態が改善しなかった1例,伏臥位による圧迫を繰り返していた為にロッドが後方移動を起こした頚損の1例,麻痺境界部神経痛の原因として抜去を主張した馬尾損傷の1例,およびロットサイズに不満を抱いた脊損の1例を経験した.アンケート調査でも32例(86%)で手術に満足の回答を得,集尿器の逸脱や褥創形成がなくなり,自己導尿も容易になった.脊損の性交障害に対する反応では15例(41%)が積極的に満足,4例のみが不満足と答え,その他は機会がない,興味がないなど対象外の18例(48%)であった.脊損患者の尿失禁に対する集尿器トラブル対策および性交障害の解決にはSemirigid typeのPenile Prosthesis手術は,脊損特有の問題に配慮すれば有効な治療法である.

収録刊行物

  • 日泌尿会誌

    日泌尿会誌 77 760-765, 1986

    社団法人日本泌尿器科学会

被引用文献 (2)*注記

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