先天性下部尿路通過障害と小児遺尿症

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  • CONGENITAL LOWER URINARY TRACT OBSTRUCTION AND ENURESIS IN CHILDREN

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抄録

1974年から1989年までの16年間に兵庫医大泌尿器科で経験した先天性下部尿路通過障害の小児症例における遺尿症について検討した. 先天性下部尿路通過障害612例のうち139例 (22.7%) に遺尿症をみとめ, 疾患別では後部尿道弁の24.7%, 前部尿道弁の50.0%, 男児の先天性尿道リング狭窄の23.8%, 女児の先天性尿道リング狭窄の19.9%に遺尿症がみとめられた. 先天性下部尿路通過障害における遺尿症は夜間遺尿のみでなく昼間遺尿をともなうものが多く, 膀胱機能検査では半数以上に膀胱利尿筋の過活動性がみとめられた. 手術により下部尿路通過障害を治療することにより, 約80%の症例において遺尿症の消失あるいは改善がみとめられた. 遺尿症は先天性下部尿路通過障害の重要な症状であり, 遺尿症を訴えて受診する小児患者のなかから先天性下部尿路通過障害をもつものをみつけ, これを適切に治療することは大切である. とくに, 昼間の尿もれや頻尿をともなうもの, 尿路感染の既往のあるもの, あるいは検尿で異常のある遺尿症例では精査が必要である.

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