ボツリヌス毒素膀胱壁内注射療法2例の経験

  • 渡邊 健志
    鳥取大学医学部器官制御外科学講座腎泌尿器分野 現 鳥取県立中央病院泌尿器科
  • 斎藤 源顕
    鳥取大学医学部器官制御外科学講座腎泌尿器分野
  • 平川 真治
    鳥取大学医学部器官制御外科学講座腎泌尿器分野
  • 宮川 征男
    鳥取大学医学部器官制御外科学講座腎泌尿器分野

書誌事項

タイトル別名
  • THE EFFECT OF BOTULINUM TOXIN INJECTION INTO THE BLADDER FOR OVERACTIVE BLADDER
  • 症例報告 ボツリヌス毒素膀胱壁内注射療法2例の経験
  • ショウレイ ホウコク ボツリヌス ドクソ ボウコウヘキ ナイ チュウシャ リョウホウ 2レイ ノ ケイケン
  • TWO CASE

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抄録

A型ボツリヌス毒素 (BTX-A) の膀胱壁内注射を施行した2例の難治性過活動膀胱を報告する.<br>症例1: 癒着性クモ膜炎に罹患した53歳女性. 患者は高用量の抗コリン剤投与にも関わらず重度の排尿筋過活動と切迫性尿失禁を有する. 膀胱鏡下で計300単位のBTX-Aを三角部を除く排尿筋に30ヵ所 (1ヵ所10単位/ml) 注入した. この手技は1%リドカイン10mlによる仙骨麻酔と2%40mlによる膀胱粘膜麻酔の下で行われた. 経過観察12週目では完全に尿禁制であった. 残尿量は増加しなかった.<br>症例2: 特発性の難治性過活動膀胱を有する63歳男性に対して上記の方法で治療を施行した. 切迫性尿失禁はBTX-A注射後には減少した. しかし, 残尿量は増加し間欠的自己導尿を必要とした.<br>本治療法は手技も容易であり, 安全性が確立されれば外来治療でも可能と考えられた. 症例2のように排尿障害を併発することもあり, 症例の選択やボツリヌス毒素の投与方法を検討する必要があると考えられる. 本法は, 経口抗コリン剤では治療効果が得られない過活動膀胱に対する新しい治療法として期待できると思われる.

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参考文献 (8)*注記

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