利尿剤負荷レノグラムの診断的意義について

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  • DIAGNOSTIC VALUE OF DIURESIS RENOGRAPHY
  • リニョウザイ フカ レノグラム ノ シンダンテキ イギ ニ ツイテ

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抄録

我々は, 先天性水腎症11名, 尿管結石症22名, 逆流尿管2名の尿流通過状態を利尿剤負荷レノクラムによつて検討した. 利尿剤が引起すレノグラム排泄曲線の型によつて, 11名の水腎症患者は完全排泄群 (6名) および非排泄群 (5名) の2つのグループに分類された. 利尿剤負荷レノグラムが完全排泄型を示した群では, 逆行性腎盂造影によつて積極的な狭窄所見を得ることができずまた静脈性腎盂造影からも collecting system がわずかしか拡張しない軽度水腎症であることが明らかとなつた. 一方, 非排泄型と判定された群では, collecting system に著しい拡張を示す高度水腎で全例に尿管狭窄が証明された. また, 形成術による通過障害の改善度は, 利尿剤負荷レノグラムによつて従来のどの検査法よりも明確に判定することができた.<br>尿管結石患者について, 結石嵌頓による尿管閉塞の程度を利尿剤負荷レノグラムから得られた2分間排泄率によつて評価した. 18名の患者の間では, 2分間排泄率が小さくなるほど collecting system の拡張度は増加し, 高度水腎に至ると排泄率値が0 (非排泄型) になつた. また結石が大きくなるほど, 2分間排泄率の値が減少する傾向を認めた. 結石疝痛を訴えた4名は例外で, 嵌頓結石が小さかつたにもかかわらず利尿剤負荷レノグラムは非排泄型を示した.<br>狭窄合併の疑われる逆流尿管は, フォーレカテーテルを膀胱に留置することによつて, 利尿剤負荷レノグラムを検討することができる.<br>利尿剤負荷レノグラムが有するこれらの特質は, 尿流通過状過状態を正確に示すので先天性水腎症や尿管結石症など上部尿路の拡張する疾患に対し, 治療方針の決定および手術効果判定などに役立ち今後ますます応用されて行くものとおもわれる.

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