尿路性器悪性腫瘍患者における cyclic nucleotide の測定意義について

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  • CYCLIC NUCLEOTIDES IN UROGENITAL MALIGNANCIES
  • ニョウロ セイキ アクセイ シュヨウ カンジャ ニ オケル cyclic nu

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抄録

膀胱腫瘍を中心に尿路性器悪性腫瘍患者の尿中および血漿 cyclic nucleotide (cyclic AMP, cyclic GMP) と, 膀胱腫瘍組織内の cyclic AMP濃度を測定した. 1) 尿路性器悪性腫瘍患者の cyclic nucleotide の検討にあたつては, これを膀胱腫瘍患者と膀胱腫瘍を除くその他の尿路性器悪性腫瘍患者に分けて行つたが, 尿中および血漿 cyclic AMP, cyclic GMPともに対照群に比べて差異を認めなかつた. 2) しかし, 膀胱腫瘍患者の high stage 群は low stage 群に比べて尿中 cyclic AMP, cyclic GMP ともに有意に低下しており, 腫瘍が進行して初めて尿中 cyclic nucleotide が低下してくるものと思われた. high grade 群, 10w grade 群の2群間で差異はなく, また, 血漿 cyclic nucleotide については, stage 別 grade 別のいずれの2群間でも差異を認めなかつた. 3) 尿路性器悪性腫瘍患者の治療後の尿中 cyclic AMP, cyclic GMPは治療前に比べて有意に上昇しており, 尿中 cyclic nucleotide は患者の予後を知る一つの指標となるものと思われた. 4) 腫瘍を伴う膀胱において, 腫瘍組織と非腫瘍組織の cyclic AMP濃度を測定したが, 両者ともに対照群の正常膀胱粘膜に比べて低値を示した. このことは, 非腫瘍組織の代謝状態が腫瘍に近いことを示しているとも考えられ, 膀胱腫瘍が多中心性に発生する腫瘍であることを考えれば, 興味深い結果と思われた.

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