前立腺偶発癌の検討

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  • STUDIES ON INCIDENTAL CARCINOMA OF THE PROSTATE

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抄録

過去10年間に関連施設で治療を受けた偶発癌157例の検討を行った.<br>前立腺肥大症の診断で被膜下前立腺剔除あるいは経尿道的切除を行った5,212例のうち, 偶発癌は157例 (3.0%) に認められた. この頻度はこれまでの報告と比較するとやや低かった. このうちstage A1は30例, A2は127例に認められた.<br>組織学的分化度では高分化癌, 中分化癌, 低分化癌がそれぞれ44.6%, 36.9%, 18.5%に認められたが, 低分化癌の割合がやや高い傾向があった. この組織学的分化度は特にTUR-P症例において癌陽性チップ数の割合と明らかな関係を有していた.<br>偶発癌組織における atypical hyperplasia, intraductal dysplasia の出現頻度はそれぞれ36.9%, 85.3%であった. Atypical hyperplasia, intraductal dysplasia とも低分化型になる程, また癌病変の拡がる程その出現頻度が低下した. このようないわゆる atypical hyperplasia, intraductaldysplasia と偶発癌の発生病理に関し, 今後の検討が必要であろう.<br>臨床癌への進展は157例中6例に認められた. いずれも stage A2の症例であり, 1例以外は中ないし低分化癌の症例であった.<br>Stage A2の症例に対しては, 内分泌療法のみならず, staging lymphadenectomy で骨盤リンパ節に転移のない場合には根治的前立腺剔除, 放射線療法を治療の一つとして考慮すべきであろう.

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