交感神経刺激に対するネコ尿道の反応

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  • URETHRAL RESPONSE TO SYMPATHETIC NERVE STIMULATION IN THE CAT

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抄録

ネコ尿道を一定の速度で順行性に潅流しながら, 下腹神経および腰仙部交感神経幹 (L4-S1) を電気刺激し, 尿道内圧の上昇反応 (以下それぞれΔP: HGN, ΔP: SC) を検討した.ΔP: HGNはΔP: SCより有意に大きく, またΔP: HGNはオス猫でメス猫より有意に大きかったが,ΔP: SCには性差を認めなかった.ΔP: SCはL4からS1までの各刺激部位間で有意差はなかった. ΔP: HGNはα受容体遮断薬 (phentolamine, 1~2mg/kg) にて約80%抑制され, 自律神経節遮断薬 (hexamethoniumbromide, 2mg/min, 25~50mg) では約50%の減少が認められた.ΔP: SCは両遮断薬により80%以上抑制された. L7-S1レベルの交感神経幹を電気刺激し, 下腹, 骨盤および陰部神経を順次切断して,ΔP: SC (L7-S1) の変化を検討すると,ΔP: SC (L7-S1) は各神経の切断後に平均でそれぞれ0%, 12%, 50%減少し, これら3神経の切断後にもΔP: SC (L7-S1) は38%残存した. 以上より, 1) 交感神経刺激による尿道内圧上昇は尿道に分布するα受容体を介するものである. 2) 下腹神経刺激による尿道内圧上昇には短交感系が深く関与している, 3) 腰仙部交感神経幹を下行する交感神経線維の中には, 下腹, 骨盤あるいは陰部神経を経由せずに尿道に投射する線維が存在する, ことが示唆された.

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