胎児腎の組織学的検討

  • 島田 憲次
    大阪府立母子保健総合医療センター泌尿器科
  • 細川 尚三
    大阪府立母子保健総合医療センター泌尿器科
  • 東田 章
    大阪府立母子保健総合医療センター泌尿器科

書誌事項

タイトル別名
  • HISTOLOGICAL STUDY OF THE FETAL KIDNEYS
  • Development of the Nephrons According to Gestational Weeks
  • 在胎週数とネフロンの発育

この論文をさがす

抄録

出生前超音波診断の普及により, さまざまな尿路奇形の報告が増加しているが, それに伴いこのような症例に対する診断と治療上の問題も増えている. なかでも胎児治療についてはその是非や適応時期についてのヒトにおける基礎的な検討がほとんど成されていない. このような観点から, 先ず正常胎児の腎組織を調べ, 在胎週数による腎の発育の違いを検討した.<br>対象は当センター病理部で剖検が加えられた胎児の内で, 腎尿路に異常が見られなかった60例87腎である. その結果, (1) ネフロン形成層はGW35~36週にかけて消失していた. (2) medullary ray に沿って並ぶ糸球体数 (RGC) はGW30週頃までは直線的に増加し, その後36週を過ぎれば12個前後と一定の値に落ち着く. RGCは子宮内での胎児の発育状態には影響を受けていなかった. (3) 糸球体の大きさは均一ではなく, medullary ray に沿って深部から表層に向かうに従い, 徐々に小さくなる. (4) 最も表層の糸球体はいずれの在胎週数においてもその大きさに差は見られなかった. 傍髄質部の糸球体も在胎週数による有意差はなかった.<br>胎児腎のこのような形態上の特徴に注目すれば, 病的腎の病態を解明する手がかりが得られると考えられた.

収録刊行物

被引用文献 (2)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ