高齢者の頻尿・尿失禁に対する抗コリン剤治療

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タイトル別名
  • ANTICHOLINERGIC THERAPY OF URINARY INCONTINENCE AND URINARY FREQUENCY ASSOCIATED WITH THE ELDERLY
  • With Special Reference to Dementia
  • 特に痴呆との関係について

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抄録

頻尿 (4名), および切迫尿失禁 (76名) を主訴とする65歳以上の高齢患者計80名に対し抗コリン剤を使用し, その効果について検討した. 対象は男性45名, 女性35名で, 年齢は65歳から92歳平均73.7歳であった.<br>検討方法は抗コリン剤 (塩酸テロジリン24mg/日, 塩酸オキシブチニン6mg/日, 臭化プロバンテリン60mg/日, いずれかもしくは組み合わせ) を2週間以上投与し, その投与前後で臨床症状, 他覚所見の改善を調べた. また, 対象患者全例に長谷川テストを施行し, その結果より痴呆群40名, 非痴呆群40名に分類し, 抗コリン剤の効果を比較検討した.<br>他覚所見である膀胱内圧曲線では, 痴呆群, 非痴呆群ともに最大膀胱容量の有意な増大を認め, その改善率も, 両群間に有意差を認めなかった. 一方, 自覚症状改善は, 痴呆群で40例中6例 (15%), 非痴呆群で40例中16例 (40%) と, 非痴呆群で有意に優れていた.<br>このように痴呆患者では膀胱内圧曲線の改善は自覚症状の改善に結びつかなかった. これは痴呆患者の尿失禁が, 膀胱機能異常ではなく, 失認, 失行といった特殊性に由来するためと思われた.

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被引用文献 (1)*注記

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