インポテンス患者の診断と治療の変遷

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  • TRANSITION OF DIAGNOSIS AND TREATMENT FOR IMPOTENCE

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抄録

1979年から1991年の13年間に高松赤十字病院泌尿器科インポテンス外来を受診した患者は685例で, 30歳代が最も多く (27.9%), ついで50歳代にピークがあり (22.8%) で, 両者で全体のほぼ半数をしめていた.<br>診断面では1979年から1983年の初期では nocturnal penile tumescence monitoring にて器質的か機能的かの鑑別を行うのみであったが, 1984年から流入系および流出系のスクリーニングとしてパパベリンテスト, penile brachial index, 確定診断としてそれぞれ pelvic angiography, dynamic infusion cavernosometry and cavernosography を施行するようになり, さらに球海綿体筋反射潜時の測定等の神経系の評価も確立し, 約80%の症例に分類が行えるようになった. 診断方法が確立した87年以降の305例中, 分類が可能であったのは78.7%で, 心因性が31.1%と最も多く, ついで流出系の異常が20.0%, 流入系の異常が7.9%, 神経系の異常が7.0%であった.<br>治療面では心因性インポテンスには当初から行われている薬物療法は有効率が約40%, 88年から行われている勃起の自然回復を目的とする vasoactive drug の陰茎海綿体内反復投与は約60%の有効率であった. 流出系の異常に対する静脈手術は, 自己注射と組み合わせても約25%の症例しか性交を行っていないことがわかった.<br>流入系の異常の症例に対する治療は血行再建術を施行した症例も少なく, 満足のいくものではなかった. 神経系の異常が見られる症例や複数の因子によるインポテンスでは, 勃起の自然回復は困難なことが多く, 自己注射や vacuum constriction device を勧めることが多いが, 拒否症例も多く, 半数以上の症例が満足な治療ができていないのが現状であった.

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