終日ウロフローメトリによるIPSSの信頼性の検討

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  • EVALUATION OF RELIABILITY OF IPSS BY 24-HOUR UROFLOWMETRY

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抄録

(背景と目的) 終日ウロフローメトリによる終日の排尿状態の記録を用いて, 患者がIPSSに正確に答えているか検証した.<br>(対象と方法) 男性入院患者20人 (うち前立腺肥大症と前立腺癌の6例については治療前後) を対象に, 自己申告のIPSSの7項目のうちの5項目 (S頻尿, S夜間尿, S尿線中絶, S勢い, Sいきみ) と, 終日ウロフローメトリに記録された全排尿記録 (O頻尿, O尿線中絶, O夜間尿, 最大尿流率・ためらい時間の平均値) とが, 一致するか調べた.<br>(結果) S頻尿とO頻尿との相関係数は0.48に過ぎず, 2時間以内にトイレに行く回数は正確に答えられない質問のようであった. S夜間尿とO夜間尿, S尿線中絶とO尿線中絶との相関係数は高く, この2項目は正確に答えられていた. S勢いは最大尿流率の平均値と高い相関を認めた. しかし, どの程度を勢いが悪いと感じるかは, 個人差があるだけでなく, 同一人でも治療前後で変わっており, 特に治療後に基準が甘くなる傾向があり, 治療効果判定にIPSSを用いる場合は, 留意すべきと思われた. Sいきみが高いほどためらい時間が長いといった傾向は見られず, 遷延性排尿の質問になっていなかった.<br>(結論) IPSSは最も洗練された質問表であるが, 国内での使用にあたっては, 世界保健機構前立腺肥大症取り扱い委員会の翻訳をそのまま用いた上で, AUAと同等の規模の日本人患者での有用性の確認がなされるべきである.

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