転移性腎癌の予後因子の検討

書誌事項

タイトル別名
  • PROGNOSTIC FACTORS FOR METASTATIC RENAL CELL CANCER

この論文をさがす

抄録

1973年から1993年にいたる21年間に横浜市立大学泌尿器科で腎摘除術をうけた腎癌症例198例のうち転移性の腎癌76例をA群 (腎摘除術時にすでに転移の存在していた症例) 38例及びB群 (腎摘除術後の再発転移症例) 38例に分け, これら症例の予後因子について検討し, 以下の結論を得た. (1) 腎摘除術後の生存率はB群が良好であったが, 転移確認後の生存率は差がなかった. (2) 転移確認後の生存率についての検討では転移症例全体の予後に及ぼす病理学的因子では, 原発腫瘍の組織学的異型度がG3の症例, 組織学的細胞型が淡明型以外の症例, 手術時リンパ節転移を有した症例, 原発腫瘍の腫瘍径が8cm以上の症例, 転移部位が肺単発以外の症例では他の症例に比較して予後不良であった. (3) 転移症例全体のIFNα使用例と非使用例の予後に差はなく, IFNαでCR+PRの奏効例も非奏効例に比べて予後に差はなかったが, MR以上の奏効例では非奏効例に比較して予後良好であった. また, IFNαの奏効率に関してはA群がB群に比較して高かった. (4) 転移巣の手術により肉眼的に完全摘除が可能と思われた症例の生存率は手術出来なかった症例と比較して有意に予後良好であった. また, 転移巣の手術症例のなかではB群がA群に比較して有意に予後良好であった. これらの結果より, 腎癌の転移巣に対する治療はそれぞれの背景因子により決定していく必要があるものと思われた.

収録刊行物

被引用文献 (7)*注記

もっと見る

参考文献 (24)*注記

もっと見る

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ