精巣鞘膜に発生しCA19-9抗原陽性を示した腺癌の1例

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  • PRIMARY ADENOCARCINOMA OF THE TUNICA VAGINALIS TESTIS EXPRESSING CA19-9 ANTIGEN

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抄録

47歳男性. 左陰嚢腫脹を主訴に当科を受診. 陰嚢超音波検査では, 内部は液体貯留のみで, 充実性部分は認められず, 陰嚢穿刺を施行した. 穿刺液は暗赤色調で270cc吸引された. 穿刺液細胞診は Class IIIで, 血清中のCA19-9も593U/ml (<36) と高値を呈していたため悪性も否定出来ず, 左精巣水瘤根治術を施行した. 肥厚した精巣鞘膜を病理迅速診断に提出したところ, 反応性中皮の診断で, 悪性像はなし, と報告されたため, 通常の精巣水瘤根治術を施行した. 穿刺液のCA19-9は104,200U/mlであれ, 細胞診は Class Vであった. 永久標本では精巣鞘膜に瀰漫性に浸潤する腺癌と診断され, 免疫組織染色ではCA19-9陽性であった. 後日, 経鼠径的左精巣摘除術と左浅鼠径リンパ節郭清を施行したが, 精巣や精巣上体に腫瘍は認められず, また全身検索でも原発巣を示唆する所見は得られなかったため精巣鞘膜に発生した腺癌と診断した. リンパ節に転移は認められず, 現在まで11ヵ月再発転移なく経過している. 文献的には, 精巣鞘膜に発生した腺癌は本症例が3例目であり, 腫瘍がCA19-9抗原を発現している報告は初めてと思われる.

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