後に idiopathic intestinal pseudo-obstruction syndrome と診断された胎児巨大膀胱の1例

書誌事項

タイトル別名
  • FETAL MEGACYSTIS WITH IDIOPATHIC INTESTINAL PSEUDO-OBSTRUCTION SYNDROME: A CASE REPORT

この論文をさがす

抄録

23生日, 女児. 在胎29週, 胎児超音波検査にて著明に拡張した膀胱と両側水腎症を指摘された. 在胎33週5日, 巨大膀胱と水腎症の増悪がみられたため, 帝王切開にて出生. 出生体重2,510g. Apgar score 8/9. 外表奇形無し. 出生直後の導尿は困難無く行われ, 190mlの尿流出と水腎症の改善がみられた. 13生日に行われた排尿時膀胱尿道造影ではVURを認めず, 尿道の拡張もなかった. また, 生後2日目に上部消化管造影, 注腸造影が行われたが, 異常はみられなかった. さらに, 頭部CT, 脊髄MRI所見も正常であった. 生後30日目の膀胱内圧測定では detrusor hypocontractility の像を呈し, 以後母親による間欠的導尿が導入された. 12ヵ月現在, 尿路感染の既往なく, 腎機能も正常に保たれている. しかしながら, 離乳食の増加に伴い, 高度の便秘がみられ, 次第に下部消化管の機能的通過障害が明らかとなった.<br>本症例は新生児期に先天性巨大膀胱を唯一の症状とした idiopathic intestinal pseudo-obstruction syndrome の1例であるが, 同様の報告はこれまでにみられない. 尿路異常が出生前に診断されるにも関わらず, 消化器症状の発現が遅れてみられることから, 新生児期以後の管理には尿路のみならず消化管に対しても充分な注意を要する.

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (9)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ