ラット精管結紮後の造精機能障害発生機序の研究

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  • A STUDY ON THE MECHANISM OF THE SPERMATOGENIC DAMAGE AFTER VASECTOMY IN RATS

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抄録

(背景と目的) 精管結紮後に認める造精機能障害におけるアポトーシスの関与について, 成獣ラットモデルを用いて生化学的および微細組織学的に調べた. 特に精子形成細胞におけるアポトーシスの発現機序を調べる目的で, iNOSおよびその上流に位置する転写因子の一つであるNFκBの関与を検討した.<br>(対象と方法) 10週齢のウィスター系ラットの左側精管を結紮し, 術後1, 2, 5, 10週目の結紮側, 非結紮側精巣及び sham operation を施行したコントロール精巣に対して, アポトーシスの検出をTUNEL法および電子顕微鏡にて調べた. iNOSの発現は, Western Blottiong 法および免疫組織化学染色により検討した. NFκBについては抗p65抗体を用いた免疫組織化学染色によって行った.<br>(結果) 術後5週目より結紮側精巣において, 精細管極造の荒廃とともにアポトーシス陽性精子形成細胞の著明な増加がみられた (5, 10週目p<0.01). 電子顕微鏡では, 凝集した核を持つ精子形成細胞を確認した. また, 術後の経過とともにiNOS蛋白の発現の増加を認め, 特にアポトーシス陽性精子形成細胞において, iNOS蛋白の発現の増加を認めた. NFκBp65蛋白は, コントロール群と比較して有意に精子形成細胞の核内に移行していた.<br>(結論) 精管結紮術後にみられる造精機能障害は, アポトーシスを介しており, その発現機序にはiNosおよびNFκBが深く関与している可能性が考えられた.

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