極めて稀な精巣結核の1例

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  • A CASE OF VERY RARE TUBERCULOSIS OF THE TESTIS

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抄録

61歳男性. 右陰嚢内容の無痛性腫大を主訴に当科を受診した. 右陰嚢内容は透光性試験陰性で, 触診上右陰嚢内部にうずら卵大の弾性硬, 圧痛のない表面平滑な硬結を触知した. 血液・生化学検査では軽度の血沈の亢進, CRPの上昇を認める以外は異常値を認めず, 検尿所見も正常であった. また精巣腫瘍マーカーであるβ-hCG, AFP, LDH値は正常範囲内であった. 胸部単純写真, DIP, CTでは異常所見は見られなかったが, 右陰嚢部エコー, MRIで右精巣内部に境界明瞭な結節性病変を認めた. 以上より右精巣腫瘍の診断にて, 右高位精巣摘除術を施行した. 摘出標本では軽度腫大した右精巣内部に長径2.5cmの黄白色の結節性病変を認め, 病理組織学的診断は乾酪壊死を認める結核結節の所見であった. 精巣上体には結核病変は認められなかった. 病理組織のチール・ニールセン染色では結核菌の存在こそ確認できなかったが, 術後抗結核療法 (INH, RFP, EB) を開始した. 術後, 血沈, CRP値も正常化し, 12ヵ月経過するが再発は認めていない. 精巣上体に病変を認めない精巣結核は非常に稀であり, 本邦で自験例が第1例目であると考えられた. また, 結核が再度蔓延し始めている社会状況の中, 再興感染症として重要性を認識すべきと考えられた.

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