1歳未満で発見されたVUR106症例における逆流性腎症

  • 松尾 康滋
    東京都立清瀬小児病院泌尿器科 現 群馬大学医学部泌尿器科学教室
  • 小川 修
    東京都立清瀬小児病院泌尿器科 現 延岡クリニック
  • 波多野 智巳
    東京都立清瀬小児病院泌尿器科 現 総合太田病院泌尿器科
  • 佐久間 孝雄
    東京都立清瀬小児病院泌尿器科 現 神戸大学医学部泌尿器科学教室
  • 宍戸 清一郎
    東京都立清瀬小児病院泌尿器科
  • 中井 秀郎
    東京都立清瀬小児病院泌尿器科
  • 川村 猛
    東京都立清瀬小児病院泌尿器科

書誌事項

タイトル別名
  • REFLUX NEPHROPATHY WITHIN FIRST YEAR OF LIFE
  • Studies of its Clinical Features and Kidney Scar-Formation According to Treatment Modalities
  • 特に治療別にみた腎実質瘢痕の新生・進展の検討

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抄録

1歳未満の膀胱尿管逆流106例177腎について腎瘢痕, 逆流性腎症について検討した.<br>その特徴として以下のことが挙げられる.<br>(1) 男児が82.1% (87/106) と多数であり, 高度逆流症例 (VUR Grade III以上) が83.1% (147/177) を占めた. その特徴より Fetal Vesicoureteral Renux の関与が考えられる.<br>(2) 初診時すでに実質に及ぶ腎瘢痕を有する腎が57.1% (101/177) 存在し, 18.9% (20/106) の症例に腎機能低下 (s-Cr≧0.6mg/dl) を認めた. また, 8.5% (15/177) に異形成・低形成腎を認め, VURの胎生期正常発生に対する影響が示唆された.<br>(3) 両側に複数個の腎瘢痕を認める群は他の群に比べ, 有意に尿細管・糸球体機能障害を認め, すでに逆流性腎症が発症していたことが疑われた.<br>(4) 2年以上の経過観察で28.4% (29/102) で瘢痕の新生・進展を認めた. VUR Grade III以上では初回入院より3ヵ月以内で手術を施行した早期手術例は14.3% (5/35) が瘢痕の新生・進展をみたに過ぎないが, 晩期手術例では48.6% (18/37) に, 逆流防止術非施行例では38.5% (5/13) に瘢痕の新生・進展が見られた.<br>VURを有する乳児に対し, 早期手術は乳幼児の未熟な腎組織に対する環境を改善することにより腎瘢痕新生・進展を回避し, 正常な腎発達を期待するために有効であり, とくに高度VUR例には積極的に施行するべきと考えられる.

収録刊行物

被引用文献 (2)*注記

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