早期診断が困難であった肺嚢胞性疾患に隣接した原発性肺癌の検討

書誌事項

タイトル別名
  • Problems in the Diagnosis of Peripheral Lung Cancer Contiguous with Pulmonary Bullous Disease

この論文をさがす

抄録

最近1年間に切除された原発性肺癌70例の中で, CT画像とその病理所見で肺嚢胞性疾患に隣接していることが確認された肺癌を8例経験した.いずれの症例も早期診断が困難であり, かつ病理学的に6例(75%)がIIIA期以上の進行肺癌であったことに注目し, 肺嚢胞性疾患に隣接した肺癌の診断の問題点について考察した.症例の内訳は全貝が男性の重喫煙者であり, 年齢は53-75歳(中央値:70歳)であった.画像的には初診前の胸部X線写真を入手できた7例のうち4例で, 12ヵ月前の胸部X線写真では原発巣と考えられる陰影を指摘できなかった.また初診時の単純X線写真とCT画像を比較してみると, 4例(50%)では単純X線写真でも肺嚢胞に隣接した肺癌を指摘できるが, 4例では単純X線写真では病変の指摘が困難でありCT診断が重要であった.以上, 肺嚢胞性疾患に隣接した肺癌は単純X線写真での早期発見が困難であり, また病理学的にも進行肺癌で見つかることが多かった.肺嚢胞性疾患患者ではCT画像を用いた定期的な経過観察と肺癌を疑った際には積極的な検索が必要であることが示唆された.

収録刊行物

  • 肺癌

    肺癌 34 7-14, 1994

    日本肺癌学会

被引用文献 (6)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ