補助療法後の肺摘除例におけるアナフィラクトイド紫斑病, 遅発性無瘻性膿胸及び対側間質性肺炎の発生に対する1考察

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タイトル別名
  • Anaphylactoid Purpura, Empyema without Bronchial Fistula and Contralateral Interstitial Pneumonia Developing after Pneumonectomy for Advanced Lung Cancer with Preoperative Adjuvant Therapy

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抄録

症例は68歳男性.術前診断はbulky N2を伴う腺癌で化学療法, 放射線療法同時併用3クールによってPRを得て5ヵ月後に右肺摘除術を施行した.術後経過は良好で元気に退院したが, 外来にて経過観察中, 両前腕, 両下腿のアナフィラクトイド紫斑病, ついで左胸部の帯状庖疹と発熱を認め, 退院後2ヵ月で再び入院となった.再入院後, 更に遅発性無痩性膿胸や左側の問質性肺炎を次々に発症したが, ステロイドと抗生剤の投与の結果, 一旦は症状の改善をみた.しかし薬剤の慎重な減量にもかかわらず間質性肺炎の再燃とMRSA肺炎の増悪により死亡した.本症例ではHBウイルス抗原が陽性で抗好中球細胞質抗体も陽一性(P-ANCA陽性, C-ANCA陰性)であった.これらの血清学的所見は術後に起こった一連の出来事の引き金になったと考えられた.

収録刊行物

  • 肺癌

    肺癌 34 555-560, 1994

    日本肺癌学会

被引用文献 (4)*注記

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