44. ヒト膵がんの粘液物質の組織化学的観察

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抄録

住友病院における膵がん20例について、粘液物質を組織化学的に観察した。方法は、ホルマリン固定パラフィン切片に、アルシアン青(AB)-PAS反応、ムチカルミン(MC)染色、トルイジン青(TB)変色反応、アルデヒドフクシン(AF)染色などを施した。正常膵管は葉間の大管・葉内の小管ともに酸性粘液を、また化生粘液腺と小胞には中性粘液を認める。膵がんの粘液反応は、おおむねその組織学的分類に一致している。大管性腺がん8例のうち、6例にAB強陽性、他の2例にも部分的にAB陽性、ほぼ全例にPAS陽性粘液が散在する。MC, TB, AFも種々の程度に陽性である。大管性の乳頭状腺がん・嚢腺がん・髄様腺がん各1例および小胞性腺がん4例では酸性粘液が乏しく、多形細胞がん2例と島細胞がん1例では酸性粘液がほぼ陰性である。小管性腺がん4例も酸性粘液は2例に部分的にのみ認める。

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