12. 細胞表面とくに毛様体上皮のムコ物質の組織化学的観察

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イエウザギの毛様体の表面は, その前部では扁平上皮で, 後部では柱形上皮で被われる。上皮細胞が後眼房に面する部分では, 細胞表面に厚さが約120nmの淡影の物質の層が見られる。毛様体をホルマリン固定し, パラフィン切片を作り, 種々の濃度のセチルピリジニウム塩(CPC)で切片を前処理してからコロイド鉄反応を試みた。その結果は, 毛様体前部の扁平上皮細胞のコロイド鉄反応は後部の柱形上皮細胞のそれよりも低い濃度のCPCで阻止された。次にグルタールアルデヒド固定の材料を緩衝液でよく洗い, NeuraminidaseとStreptomyces由来のHyaluronidaseでそれぞれ1-24時間処理し, 引続きコロイド鉄反応を試みた。超薄切片を電子染することなく観察すると, 毛様体後部の上皮細胞の表面では酵素処理の時間とともにコロイド鉄反応が減弱するのがたやすく認められた。因みにグルタールアルデヒド固定の材料を超音波で処理すると, 上皮細胞の表面の淡影の物質の層は失われ難い。その反面, 細胞頂部の細胞膜の褶入は離解し, 胞形質の表層は蜂巣状を呈した。

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