17. 胃被蓋上皮細胞の粘液産生に関する細胞化学的研究

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抄録

胃粘膜は血Φからアルブミンをとりこむことが知られているが, その利用目的は明らかでない。また, 胃被蓋上皮細胞の粘液産生過程については不明な点が多い。これらの問題を解明するために, PA-TCH-SP法, ^<125>I-アルブミン, ^3H-グリシン, ^3H-グルタミン酸等による電顕ラジオオートグラフィーを行って検討した。まず, PA-TCH-SP法ではヒトならびにラットの胃被蓋上皮細胞の分泌顆粒はすべて陽性であり, これらの内容物は中性多糖体からなる粘液であることが判明した。ラットの幽門腺粘膜を^<125>I-アルブミンによってin vitroで標識し, 電顕ラジオオートグラフィーを行うと, 銀粒子は粗面小胞体, ゴルジ装置, 分泌顆粒を経て腺腔内へ移行することが判明したが, 細胞間隙を経て腺腔内へ移行する所見は認められなかった。一方, ^3H-グリシン, ^3H-グルタミン酸による電顕ラジオオートグラフィーでは銀粒子は主として核およひ糸粒体に認められ, 分泌顆粒に出現することは少なかった。以上の成績から胃被蓋上皮細胞における粘液産生には主として血中アルブミンが素材となっており, アミノ酸が利用されることは少ないものと考えられる。

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