38. 原発性アルドステロン症に於けるスピロノラクトン体発現の条件

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抄録

Spironolactone体(S体)は二次性アルドステロン症に対するS剤投与例の副腎皮質には高率に見出されるが, 原発性アルドステロン症(PA)に於ては比較的低率である。S体形成に必要な条件を知るために15例のPAの腫瘍並びに付着副腎を観察した。S体は電顕的には同心円状の膜構造として, 又組織化学的にはLFB並びにSudan Black B染色陽性物質として認められるが, さらに特徴的な事には, 3β-hydroxysteroid dehydrogenase(3βHSD)の強い活性を示す。又lysosome酵素と密接な関係を示す症例もあった。腫瘍組織に於ては, S剤非投与例ではS体は見出されず, 投与例にあっては, S体はcompact typeの細砲に見出され, clear typeの細胞や球状層型の細胞には見出し難かった。付着副腎に於ては, S剤非投与例ではS体は見出されず, 又その球状層細胞は3βHSD活性は非常に弱かった。S剤投与例にあっても, S体の見られない副腎では同酵素活性は著しく弱かったが, S体の見られる副腎ではその球状層はビマン性に又はS体を持つ細胞の近傍に強い3βHSD活性が見られた。索網状層にはS体は見られなかった。S体はアルドステロン産生能のある細胞で, 活発なステロイド産生を行っているものに出現すると思われる。

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