痙性斜頸に対する4チャンネル筋電図バイオフィードバック療法

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  • Four-channel EMG biofeedback therapy for spasmodic torticollis

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抄録

従来我々は痙性斜頸患者に対して, 左右の胸鎖乳突筋および僧帽筋の中から, 症状を強く反映している2部位を選択してフィードバック指標として用いてきた.しかし, その症状を反映する部位や筋電位は, 痙性斜頸の病態の変化に伴い変化することが多いため, 2チャンネル(ch)フィードバックでは情報不足と思われる場面もあった.そこで我々は, 2例の痙性斜頸患者に対して, 4ch筋電図BFを試みた.指標とした4chの指標は, 左右それぞれの胸鎖乳突筋および僧帽筋筋電図である.筋電図の4ch表示に際して, フィードバック指標はコンピュータ画面上にパターン化して表示した.その結果, 症例1(60歳, 女性, 事務員), 症例2(27歳, 男性, 店員)とも, 4chの筋電位制御が可能となり, 斜頸がほぼ消失した.今回の4ch筋電図パターンフィードバックにより, 筋電位の直接的な制御とともに, バランスを考えた制御が可能となった.痙性斜頸に対する筋電図BFでは, ただ単に筋電位の値をフィードバックするだけではなく, 首の全体的イメージをパターン化してフィードバックすることが重要であると考えられた.しかし, 治療期間は従来の2chBFに比べて変わりはなく, 4chBFが直ちに治療期間の短縮にはつながらなかった.また, 筋電図BF中の試行(tria1)間の指尖皮膚温度変化を見ると, 2症例とも, 筋電位の低下とともに, 皮膚温度が上昇していることが明らかとなった.このことから, 指尖皮向温度が痙性斜頸のフィードバック指標のひとつとして活用できることが示唆された.

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