圧電トランスインバータによる冷陰極管の点灯と調光

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  • A Ceramic-Transformer Inverter for Driving a Cold Cathode Fluorescent Lamp

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抄録

近年、映像、情報機器用の表示装置は大型化される一方で、軽量、薄型化が求められる。特にノートパソコンなどの携帯機器では軽量、薄型化と低消費電力化が要求される。今後ますます発展すると考えられる携帯用情報表示機器が可能となったのは、液晶表示装置の実用化によるものであるが、当初の小型モノクロ用から、最近では10インチ以上のカラー液晶表示装置が実用にされるまでに発展してきている。ところで、液晶はそれ自体では発光しないので、表示装置には液晶板とそのドライブ回路の他にバックライト装置が必要であり、液晶ドライブに必要な電力よりバックライト用に必要な電力が大きいことが低電力化の障害となっている。バックライト装置は光源、駆動回路および導光板で構成される。光源には小型、低消費電力および長寿命などの特性から冷陰極管が多用される。また冷陰極管は線光源であり、面光源に変換するために導光板が用いられるが、均一な面光源を得るための研究はかなり進んでいる。冷陰極管は点灯するまでは絶縁物であり、その点灯には1000V以上の高電圧が必要である一方、点灯後の内部抵抗は100kΩ程度となり、駆動電圧も数100Vとなる。また管の輝度特性および寿命特性から、共振回路を用いた数10kHzの正弦波交流で駆動するのが普通であり、この回路はインバータと呼ばれている。従来のインバータでは高圧発生には巻き線トランスが用いられてきたが、絶縁特性の条件と駆動回路の薄型化の両者を満足させるのは困難であった。また、調光用の制御回路も別に必要であった。一方、一時期、非巻き線型の高電圧発生器として研究された圧電トランスは、数10MΩ以上の高抵抗負荷では300倍以上の昇圧比が容易に得られる一方、100kΩ程度の負荷に対しては10倍程度の昇圧比が得られるにすぎず、また出力電力も小さいことなどが問題であった。ところで、これらの特性は負荷を冷陰極管と考えると負荷の要求特性に良く一致している。筆者らは先に、圧電トランスの駆動周波数を制御して直流高電圧制御を行う方法、および冷陰極管用インバータに応用する場合の原理を提案したが、広い入力電圧範囲と調光範囲、高効率および薄型化の可能性など冷陰極管用インバータとして実用に耐え得る特性が得られたので報告する。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1573105977250376576
  • NII論文ID
    110003338909
  • NII書誌ID
    AN10398476
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • CiNii Articles

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