オトシブミ類における 1 揺籃内の卵数と卵寄生蜂 : 特にオトシブミタマゴバチ Poropoea morimotoi Hirose の寄生との関係

書誌事項

タイトル別名
  • Egg parasitism of some leaf-rolling weevils in relation to the number of eggs laid in a leaf roll : with special reference to parasitism by Poropoea morimotoi Hirose (Hymenoptera : Trichogrammatidae)

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抄録

オトシブミタマゴバチは広くオトシブミ類の卵に寄生するが, その寄主であるオトシブミ類は通常1揺籃に1個の卵を産む.しかし, アカクビナガオトシブミやエゴツルクビオトシブミなど若干の寄主では1揺籃に2個以上の卵がしばしば産まれる.そのような揺籃では孵化幼虫の間で著しい共喰いが起り, 結局1頭の幼虫が生き残るので, もしその揺籃で少なくとも1卵が蜂の寄生を免れるならば, 蜂の寄生は最終的には幼虫の生存に影響しないとみることができる.野外で蜂の産卵行動を観察すると, 蜂は揺籃上で長時間, 間断なく産卵管の挿入を繰り返し, また複数の蜂が1揺籃上で互いに干渉することなく産卵できることもわかつた.このような蜂の徹底的な寄主の探索にもかかわらず, アカクビナガオトシブミの場合には, 1揺籃に2個以上の卵が産まれていた揺籃のうちで, 44∿75%のものは揺籃内の少なくとも1卵が蜂の寄生を免れて幼虫が生存することを示した.このことから, 1揺籃に2個以上の卵を産むというオトシブミ類の習性は卵寄生蜂, 特にオトシブミタマゴバチの攻撃を避けて, より高率の幼虫の生存を保証しているといえる.このようなオトシブミ類の一部に発達した習性はこの類では高率の死亡がしばしば卵寄生蜂によつて齎らされていることや, 母虫が多少とも幼虫を保護する習性から由来するとみられるこの類の寡産性と結びつけて考えると一つの適応的意義を持つているようである.

収録刊行物

  • 昆蟲

    昆蟲 36 (4), 377-388, 1968-11-30

    東京昆蟲學會

被引用文献 (1)*注記

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