イメージ想起に付随する脳神経活動のfMRIによる検討

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  • An fMRI Study on Neural Activities relating to Mental Imagery

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抄録

バイオフィードバック訓練過程において, 訓練目標につながるイメージを併用する方が効果的であることが知られている.本研究では, 自己に密接に関係した出来事や事柄の記憶である自伝的記憶におけるイメージ想起時の神経活動を測定することにより, イメージと脳神経活動との関連を調べた.具体的には, fMRI装置により脳の局所血流量(rCBF)を測定した.被験者のタスクは, 視覚的に提示された短い文章(自己の自伝的記憶あるいは他者の記憶を表現した文章)を読み, 声を出すことなくその状況をイメージとして思い浮かべることである.fMRI測定はブロックデザインにより行った.実験Iでは, 自伝的記憶と非自伝的記憶(他者の記憶)の想起の違いを3個の条件について調べた.実験IIでは, 自伝的記憶の内容が自己にとって肯定的か否定的か, および時間的には古い記憶か新しい記憶かにしたがって4通りの条件で測定を行った.実験Iの結果, 自伝的記憶と非自伝的記憶の想起において, rCBF増加部位にそれほど違いはないものの, 自伝的記憶の場合の方が活動面積が広いことが示された.また, 両者を直接対比させると, 自伝的記憶の場合に特異的に前頭前野の活動が見られた.実験IIの結果, 視覚野および前頭野を除き活動部位は各条件で異なるものの, その活動面積で比較をすると, 新しく否定的<新しく肯定的<古く否定的<古く肯定的, という大小関係となった.以上の結果を総合すると, 自伝的記憶は, それが安定性であることおよび前頭前野での神経活動を伴うことから, バイオフィードバックにおけるイメージの基として適切であることが示唆される.さらに, 本研究の結果は, バイオフィードバック訓練において自伝的記憶からイメージ材料を選ぶ上で, 記憶の古さや付随する感情などの属性が手がかりとなることも示している.

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