ミヤコジシバリ(キク科ニガナ属)の細胞学的研究

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タイトル別名
  • A Cytological Study of Ixeris nakazonei (Asteraceae; Lactuceae) in Okinawa Island, the Ryukyus
  • Cytological Study of Ixeris nakazonei Asteraceae Lactuceae in Okinawa Island the Ryukyus

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抄録

琉球列島の海岸には,琉球列島固有種であるミヤコジシバリIxeris nakazoneiと,ハマニガナI. repens(2n=16),オオジシバリI. debilis(2n=48)の3種が同所的に生育している。このうちミヤコジシバリは,果実,総苞片,葉などの形態的特徴に基づき,ハマニガナとオオジシバリの雑種であると推定されている。本研究では,これら3種の関係を明らかにするための第一段階として,沖縄島産ミヤコジシバリの染色体数および核形態について調査をおこなった。その結果,ミヤコジシバリには染色体数2n=32,40,48の3つのサイトタイプが存在することが明らかとなった。ハマニガナやオオジシバリの染色体基本数がx=8であることから,染色体数2n=32,40,48のミヤコジシバリは,それぞれ,四倍体,五倍体,六倍体であると考えられる。これら三つのサイトタイプの基本となる核型は,ニガナ属のうちx=8の染色体基本数を持つものと同じであった。四倍体のミヤコジシバリは,染色体数がハマニガナとオオジシバリの中間であることや,これらの種と常に同所的に出現することから,ハマニガナとオオジシバリの種間交雑,あるいはハマニガナと六倍体のミヤコジシバリとの交雑によって生じた可能性が高い。五倍体のミヤコジシバリは,染色体数から判断すると,四倍体のミヤコジシバリとオオジシバリ,あるいは,四倍体と六倍体のミヤコジシバリの交雑によって生じたものと推定される。一方,六倍体のミヤコジシバリがどのようにして生じたかについては,現段階では不明である。

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