小脳動静脈奇形に対する救急治療

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  • Urgent Surgery of Poor Risk Patients with Cerebellar Arteriovenous Malformation

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抄録

発症後高度な意識障害を示した小脳動静脈奇形重症例10例の臨床経過,画像所見を検討し,手術成績との関連性について検討した.術前の意識レベルは200〜300(JCS)を示し,全例経過中に扁桃ヘルニアによる呼吸異常を示した.全例,最大径3cm以上の大血腫を有したが,脳動静脈奇形(AVM)はいずれも小型であった.手術成績(Glasgow Outcome Scale)はgood recovery(GR)およびmoderate disability(MD)が4例,severedisabi11ty(SD)が2例(運動障害は著明だが意識障害は軽度),vegetativeState(V)およびdead(D)が4例であった.両側とも縮瞳ないし縮瞳傾向を示すが,対光反射の維持されている症例はGR,MD,SDまで回復した.瞳孔が散大し,対光反射が消失した症例はVまたはDであった.GR,MD,SDの症例はV,Dの症例に対して,発症から扁桃ヘルニアまでの時間が長い傾向を示した.年齢,発症から来院までの時間,来院から手術までの時間,血腫の大きさと手術成績との間には有意な関連性はなかった.積極的な可及的早期の直達手術によって,重症例の40%は介助なしの生活が可能な状態に回復した.瞳孔散大を示さず,対光反射が維持されている重症例では特に積極的な治療を施行すべきである.

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