敗血症経過中陳旧性脳梗塞巣に生じた脳膿瘍の1例

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  • Brain Abscess at the Site of Cerebral Infarction : A case Report

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抄録

症例は57歳, 男性.突然の左片麻痺にて入院.入院後, 頭部CTにて右内頸動脈領域の広範な低吸収域を認めた.3年前より心筋梗塞, 心房細動にて治療経過中であり脳塞栓と診断, 保存的治療を行った.経過中, 肺炎, 敗血症を併発, 脳塞栓発症3カ月後のCTにて梗塞巣内にring enhanced massが認められた.陳旧性脳梗塞巣内に生じた脳膿瘍と診断, 小開頭, 膿瘍ドレナージ術を行った.手術所見では, 病巣より混濁した黄白色の膿汁を認め, 培養にてmethiciline resistant Staphylococcus aureus (MRSA)が検出された.術後, 脳室炎を発症したため, 大開頭, 膿瘍摘出術, 脳室ドレナージ術を施行, 塩酸バンコマイシン(2g/day)の全身投与とゲンタマイシン(10mg/day)の脳室内投与を併用し, 炎症所見の消失と臨床症状の改善を認めた.敗血症経過中, 陳旧性脳梗塞巣に脳膿瘍を生じた稀な1例を経験したので, 若干の文献的考察を加え報告する.

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参考文献 (9)*注記

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