ブユアイソザイムの遺伝生化学的研究 : I. グァテマラ産ブユ 3 種 Simulium ochraceum, S. metallicum, S. horacioi 間のアイソザイム変異

書誌事項

タイトル別名
  • Biochemical genetics of blackfly isozymes : I. Isozyme variation among three species, Simulium ochraceum, S. metallicum and S. horacioi from Guatemala
  • ブユアイソザイムの遺伝生化学的研究-1-グァテマラ産ブユ3種Simulium ochraceum,S.metallicum,S.horacioi間のアイソザイム変異〔英文〕
  • ブユアイソザイム ノ イデン セイカガクテキ ケンキュウ 1 グァテマラサン

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抄録

グァテマラ産ブユ3種, Simulium ochraceum, S. metallicum, S. horacioi の酵素の電気泳動パターンを基にそれらの類縁関係を比較検討した。調査した7酵素, adenylate kinase (AK), alkaline phosphatase (ALP), α-glycerophosphate dehydrogenase (αGPD), glucosephosphate isomerase (GPI), hexokinase (HK), leucine aminopeptidase (LAP), phosphoglucomutase (PGM)のうち3酵素, ALP, αGPD, LAPは, 幼虫から成虫の発生段階において酵素活性パターンに変動がみられ, ALPとLAPは成虫, αGPDは幼虫においてそれぞれ活性バンドを失った。これは, ブユの変態過程において酵素活性に何らかの調節機構があることを示すものと思われる。種間の比較は, 幼虫期のαGPDを除いた6酵素で行った。GPI, PGMの2酵素は, すべての種内で変異が見いだされ, 高度に多型的であったが, これらの変異は一部種間で共有していた。一方, AK, ALP, HK, LAPの4酵素は, 種内変異はみられなかったが, 種間には大きな違いがみられた。種間の遺伝的距離は。Nei (1972)の方法および比較した種間で共有している優勢な対立遺伝子の割合(A_D)を求める方法の2方法を用いて推定したところ, 両法ともほぼ同様の結果に達した。すなわち, S. ochraceum-S. metallicum間のNeiの遺伝的距離(D)は, 形態学的見地から推測されるように大きい値(0.9545)を示したが, S. metallicum-S. horacioi間(0.5336)では, S. ochraceum-S. horacioi間(0.4324)とほぼ同程度の値が得られ, S. metallicum-S. horacioi間の形態的類似性とややくい違いを見せた。またS. ochraceum-S. horacioi間で得られたD値は, 0.4324であり, この値はこれらの形態的相違から考えると予想に反し小さかった。共有する対立遺伝子の割合, A_D, もNeiのD値とほぼ同様にS. ochraceum-S. metallicum間で最大の値が得られ, S. ochraceum-S. horacioi間とS. metallicum-S. horacioi間では同じ値が得られた。

収録刊行物

  • 衛生動物

    衛生動物 37 (1), 1-9, 1986

    日本衛生動物学会

被引用文献 (1)*注記

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