ネビアグラスとキンググラスにおける乾物生産性に及ぼす施肥量の影響

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of the Level of Fertilizer Input on Dry Matter Productivity of Napiergrass and Kinggrass

この論文をさがす

抄録

世界の熱帯および亜熱帯地域において,ネピアグラスおよびネピアグラスとパールミレットとの交雑種であるキンググラスは,高い乾物生産性を示す青刈り飼料作物である。本研究では,植物体各器官の生長と乾物生産に及ぼす3水準の施用量の影響を,2ケ年にわたり1/2,000aワグナーポット栽培により生長解析法で検討した。草丈,1茎当たりの総展開葉数(TLN/S),総乾物重(TDMW),茎乾物重,根乾物重および平均茎重(MTW)は生育に伴い増加し,増加の程度は施肥重を増すほど高まった。茎数(TN)は植え付けから7月まで増加した後徐々に減少した。地上部重/根重比は,施肥量の増加に件い増加したが,葉身/茎比には施肥量の影響が見られなかった。個体群生長速度(CGR)と葉面積指数(LAI)は,植え付けから9月まで徐々に増加した後減少し,両草種共に施肥量の増加に件い増加した。植物体諸形質と生長関数との関係では,TELN/SとLAIとの間には,両草種共にいずれの施肥量でも負の(上に凸の)2次曲線が得られ,TELN'Sの変化がLAIの変化に対する主要因の1つと判断された。LAIとCGRとの関係は,両草種共に同一生育期間では施肥レベルを込みにして直線的であり,CGRはLAIの増加に伴い増加し,LAIの分布範囲は施肥量の増加に件い拡大することが示唆された。総クロロフィル含有率は生育に伴い多肥区ほど大きく低下した。以上の結果から,施肥量の増加に伴うTNおよびTELN/Sの増加は,LAIの増加を通じてCGRの増加と密接に関連しており,これらは,両草種共にTDMWの増加に大きく影響する植物体の要因と推察された。草種間差については,施肥量の変化に対するTN,TELN/SおよびMTWの反応がほぼ補償的であるため,同一施肥量ではLAI,CGRさらに最終的にはTDMWが,両草種ともほぼ一致する結眼となった。

収録刊行物

被引用文献 (3)*注記

もっと見る

参考文献 (20)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ