近隣における生活行為と空間について : コミュニティ計画の基礎的研究-3

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タイトル別名
  • ON THE LIFE BEHAVIOR AND THE SPACE OF 'NEIGHBOURHOOD' : A Basic Study of Community Planning (3)
  • キンリン ニ オケル セイカツ コウイ ト クウカン ニ ツイテ コミュニティ

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抄録

言語による直接的コミュニケーションによる人間結合のフィールドとしての「地域」における生活行為と空間の関係について, みて来たわけであるが, 研究対象の質を都市化によって「地域」をこえて広域化してしまわないもの-直接的な人間関係や生活的な内容をもつ, 地域における生活行為やその空間などに限定することによって, 「地域」的なものの存在を見出すことができたと考える。しかも, その結果は, 前回の報告における, 地域的な人間結合にかかわる圏域との対応を確認することのできるものであって, 生活行為を通して把握される「空間利用」的側面に対応する社会的意味の側面の一部を明らかにすることができ, 「空間認識」への第一歩となったといえる。即ち, 結論を要約すれば次のようである。「地域的な生活の基礎単位」住居中心の半径50m圏。住居周辺の汎用的空間に, 住居に密着度の高い日常的生活行為が発生する。加えて, 「近隣交流」の著しい集中と, 「隣近所の範囲」としての認識のかなりの集中をもたらす。基本的性格としては, 言語による直接的コミュニケーションが, 近隣関係を通してのチヤンネルをもつ場合の人間結合のフイールドと考えられる。「拡大域」住居中心の半径50〜400mの圏域。主要な生活施設とそれに至る道路の空間に, 基礎的圏域で入手できない機能的条件獲得のために拡大された日常的生活行為が発生する。「近隣交流」の最大距離, 「隣近所の範囲」の最大の圏城, および町会の範囲, などと一致するひろがりの大きさをもっている。「限界域」地域性の範囲内における最大の尺度をもつ行為が, 施設的なな空間の利用という形で発生する。基本的性格としては, 「地域」にかかわるコミュニケーションのチヤンネルが中間媒体を経由する場合の人間結合のフィールドであり, 地域性のおよぶ限界と考えられる。以上が本報告における生活行為と空間の関係を通しての「行為-距離-空間」構造を主とした考察の結果であるが, さきにのべた, 地域における人間結合の差異等にもとづく行為発生の差異の面よりも, 各地域を通して共通する傾向についての考察となっている。これらの差異にかかわる側面, 即ち, 地域の社会的特性, 空間的特性, および空間形態にかかわる総体的な「空間認識」についての考察は, 続報にゆづることとする。尚, 終りにあたって, 調査に際して御協力をいただいた地域の方々, 集計, 資料整理等に御協力いただいた方々に, 心からの謝意を表わす次第である。

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