福岡市における日照阻害建築物に関する一考察 : 立地と形態の分析

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タイトル別名
  • A STUDY ON SUNSHADOW OBSTRUCTING STRUCTURES IN FUKUOKA CITY : An Analysis on Characteristics and Elementary Factor of Occurrences
  • フクオカシ ニ オケル ニッショウ ソガイ ケンチクブツ ニ カンスル イチコ

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抄録

日照問題発生建築物の分析結果をまとめると次のようである。問題発生建築物は, 賃貸用, 分譲用で共同住宅, 併用住宅がほとんどである。問題発生地は住居系地域に多く, 容積率が200%近い建築物で発生している。福岡市全体のサンプルをベースにしてマクロな視点から数量化II類分析による立地特性をみると, 用途地域(第2種, 住居, 近商)が大きく寄与していた。また, 形態特性をみると, 容積率と階数が同程度の寄与率を示す。従って, 高さ制限の重要性を示唆している。つぎに, ミクロなレベルでみると形態面では, 問題発生街区には既存の中高層建築物が存在しない場合が多く, 存在しても1〜2棟である。また, 問題発生建築物が既存の中高層建築物に比べ大規模である。特に, 延床面積及び階数が平均を大きく上廻っている。街区レベルの立地特性を検討した場合日影時間にのみ規定されておらず(1時間程度でも問題が発生する), 周囲の被害建物の用途によって大きく差異がみられ, 住居用建物に問題を発生している。以上のことから, 現実に被害を受ける建物(住居用)の有無, そして街区および隣接地域の土地および建物利用や建物規模から規定される地域住民の新設建築物に対する期待規模(許容規模)をこえた場合に問題が発生すると考えられ, 次のような状態で問題が発生するものといえる。(1) 既存の中高層建築物が少ない地域に立地する場合。(2) 新設建築物の規模(延床面積, 階数)が既存建築物の規模を大きく上廻る場合。(3) 大きな被害(日影)を住居用建築物におよぼす場合。(4) (1), (2), (3)がトータルされて期待規模を越える場合。したがって, 街区レベルでの期待規模にもとづいた容積率・高さ制限等きめ細かい対応が必要と考えられる。今後, 住民の期待規模と新設建築物の規模の差を縮める方向で一層の検討が必要であると考えられる。

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