寡運動がジストロフィーマウス腓腹筋の収縮能と組織化学的特性に与える影響

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タイトル別名
  • Effect of Hindlimb Suspension on Young and Adult Gastrocnemius Muscle in Dystrophic Mice

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抄録

寡運動(Hypokinesia/Hypodynamia)に伴う筋萎縮が,ジストロフィー筋の病理組織学的変化並びに筋収縮特性に与える影響について検索した。4週齢(若齢群)と12週齢(成熟群)の 129B6F1系ジストロフィーマウス31匹をそれぞれ実験群と対照群に分け,実験群に対してはMoreyのtail suspensionモデルを用いて後肢を無荷重状態とした。2週間の寡運動後,腓腹筋を採取し,湿重量測定後myosin ATPase,Hematoxylin & Eosin染色を実施し,組織化学的並びに組織学的検索を行った。また合わせて対側腓腹筋の単収縮,強縮張力から収縮特性について計測した。<br>その結果,寡運動の影響は幼若ジストロフィーマウス群に著しく,体重,筋重量,単収縮及び強縮張力は対照群に比べ減少した。しかし組織化学的変化は若齢群,成熟群共に腓腹筋のタイプ1型,2型線維は同程度に萎縮し,かつ1型線維の構成比率の増加が認められた。病理組織学的所見は,組織化学的変化と同様に,若齢群,成熟群共に筋線維の大小不同がび漫性に,さらに中心核,炎症細胞,壊死や結合織の増殖像が同頻度に出現した。<br>以上の結果より,若齢群に見られた変化は,寡運動に伴う成長の一時的停滞であり,ジストロフィー筋に対して本法による寡運動性萎縮は病理学的変化になんら影響を及ぼさない事が示唆された。

収録刊行物

  • 理学療法学

    理学療法学 16 (1), 11-17, 1989-01-10

    日本理学療法士学会

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