在宅脳卒中患者を対象としたADL, IADL統合尺度の構成概念に関する検討

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タイトル別名
  • Factorial Structure of ADL-IADL Measure for People after Stroke in Community

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抄録

本研究は,ADLとIADLとの統合尺度である「拡大ADL尺度」を取り上げ,その因子構造モデルの適合度を在宅脳卒中患者のデータを用いて検討した。調査対象は,岡山県内倉敷市K病院に外来通院しているすべての脳卒中患者769名とし,調査は質問紙による面接調査法で実施した。調査を実施した222名のうち,性,年齢,尺度項目に欠損値を有さない196名(男性99名,女性97名)の資料を分析に用いた。統計解析には共分散構造分析を用いた。本尺度の構成概念に関しては,先行の研究業績を参考として因子構造モデルを理論的に措定し,標本に対する適合度を検討した。その結果,著者らが地域高齢者の標本で行った検討結果と同様,「移動動作」に関する評価項目を除き「身辺処理」と「IADL」の2因子9項目から構成した2次因子モデルで適合度指標であるGFIが0.919を示し,統計学的な許容水準を満たした。さらに探索的因子分析で因子所属項目の適切さを吟味した結果,「入浴動作」が前記2つの因子から影響を受けていることが明らかにされ,この項目を除き再度因子構造モデルの適合度を検討したところ統計学的な許容水準を十分満たした。この修正版尺度の信頼性係数は統計学的に適切な範囲にあり,かつ「年齢」,「厚生省障害老人の日常生活自立度判定基準」,「健康度自己評価」,「サービス利用の有無」と有意な関連を示した。以上の事から,在宅脳卒中患者を測定対象とするADLとIADLとの統合尺度の構成概念としては,「移動動作」ならびに「入浴動作」に関する尺度項目を除くことがより適切なことが示唆された。

収録刊行物

  • 理学療法学

    理学療法学 27 (7), 237-244, 2000-11-30

    日本理学療法士学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (26)*注記

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