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抄録
目的:角膜潰瘍は角膜線維芽細胞や浸潤した好中球などによる角膜実質コラーゲンの分解により生じると考えられている。我々は角膜線維芽細胞のコラーゲンゲル内三次元培養法を用いた検討により,細胞と細胞外マトリックスとの相互作用も考慮し,単層培養法に比して生体により近い条件で角膜線維芽細胞によるコラーゲン分解を検討する実験系を報告した。今回,角膜潰瘍形成における好中球の役割を知る目的で,本培養系を用いて角膜線維芽細胞のコラーゲン分解活性に対する好中球の影響を検討した。方法:培養家兎角膜線維芽細胞および家兎好中球をI型コラーゲンゲル内にて単独あるいは共培養し,上清中の断片化されたコラーゲンに含まれるヒドロキシプロリン量を測定し,コラーゲン分解の指標とした。結果:好中球のみをコラーゲンゲル内にて培養しても,コラーゲンの分解は認められなかった。一方,角膜線維芽細胞の培養上清中では分解コラーゲン量の増加が認められた。また,角膜線維芽細胞によるコラーゲン分解は,ゲル内に好中球が共存する条件下で促進された。そこで,このコラーゲン分解の促進が好中球由来の液性因子によるものかを検討するために,ゲル内に角膜線維芽細胞のみを播種し,好中球の培養上清を添加すると,コラーゲン分解の亢進が誘導された。一方,ゲル内に好中球のみを播種し,角膜線維芽細胞の培養上清を添加しても,コラーゲン分解の亢進は認められなかった。結論:好中球は分泌する何らかの液性因子を介して,角膜線維芽細胞によるコラーゲン分解を促進することが明らかとなった。角膜潰瘍において,浸潤した好中球は角膜線維芽細胞を活性化することにより角膜実質の融解に関与していることが示唆された。