特発性後腹膜線維症発症機序の解析

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抄録

(目的)特発性後腹膜線維症(RF)は後腹膜腔の著明な線維化により血管や尿管を巻き込み閉塞症状をきたす疾患である。病理所見は線維性結合織のび慢性増殖に炎症細胞浸潤を伴う。血管炎が主で線維化は二次的であり慢性大動脈周囲炎の亜型であるとも考えられている。RF3症例の臨床的特徴と発症機序について検討した(方法)RFと診断した3症例の臨床的解析。血管炎の指標ANCA及び抗MPO抗体,抗LF抗体および抗酸化LDL(OXLDL)抗体を測定した。また後腹膜線維症の病理組織のTGFβ_1,Connective Tissue Growth Factor(CTGF)の発現を免疫組織学的に測定した(結果)RF3症例はぶどう膜炎や橋本病を伴い、CT上,大動脈周囲に軟部組織の著明な増生を認め、2症例において経静脈的腹部大動脈造影で血管内腔狭小化を認めた。血清学的に1例でC-ANCA,1例で抗LF抗体陽性,抗酸化LDL抗体が全症例で陽性であった。2症例の病理組織上,著明な増殖線維芽細胞にCTGFの発現と線維性結合織内に散在するリンパ濾胞内の単核球にTGFβ_1の発現を認めた(結論)慢性大動脈周囲炎は血管壁OXLDLに反応し,血管周囲の結合織持続炎症を惹起しTGFβ_1過剰産生とそれによりCTGFが誘導され病理組織変化を形成したと推測された。

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