我々が試作したpain scaleの臨床応用に関する検討

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  • Clinical Application of Our Newly Developed Pain Scale

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抄録

本研究の目的は疼痛症状とQOLを包括的に把握するためのpain scaleを試作し,より良いpain scaleを開発し臨床応用することである。試作pain scaleは多種多様な疼痛の状況と疼痛に関わるQOLを把握するためのもので,疼痛状況は 1)疼痛の強さの程度,2)疼痛の性状,3)疼痛の持続時間,4)一日の疼痛出現頻度,5)疼痛の出現時間帯の5項目で,QOLは 1)睡眠状況,2)食欲状況,3)気分,4)服薬状況,5)就労状況の5項目である。試作したpain scaleは疼痛を伴う105症例に対して測定を行ない検討を行った。再検査法(r=0.92),折半法(疼痛状況: α=0.49,QOL: α=0.64)でpain scale全体の信頼性,再現性,妥当性があることを確認した。平行テスト法でpain scaleとVASとの相関(疼痛状況vs VAS: r=0.4,QOL vs VAS: r=0.56)が認められ信頼性があることが確認できた。重回帰分析を行った結果,疼痛状況に関連のあるQOLは服薬状況(β=0.252),気分(β=0.229),睡眠状況(β=0.206)(R2=0.54)であり,さらに服薬状況に関連のある要因は食欲状況(β=0.258),就労状況(β=0.221)(R2=0.4)であることがわかり段階的に疼痛とQOLとの密接な関係をとらえることができた。このようにpain scaleに対して多角的な分析を繰り返し行う中で我々が試作したpain scaleの信頼性が高く,臨床応用する上で利用価値の高いことが判明した。

収録刊行物

  • 理学療法学

    理学療法学 25 (6), 396-401, 1998-09-30

    日本理学療法士学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (18)*注記

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