食物の物性がラット頭蓋底の成長に及ぼす影響

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  • Effect of dietary consistency on cranial base growth in rat

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抄録

本研究の目的は, 食物の物性の違いがラット頭蓋底の成長に及ぼす影響を調べることである.60匹の2週齢F344/DuCrj系雄性ラットを無作為に固形飼料飼育群と液状飼料飼育群とに均等に分けた.実験は離乳前の2週齢から開始し, 3週齢にて離乳を行った.飼育期間中, 蝶形骨底部の骨添加の動態を記録するために, 42日齢にテトラサイクリン塩酸塩, 54日齢にドータイトカルセインを背部皮下に注射した.観察時期は8週齢とし, 頭部X線規格写真による頭蓋形態および組織学的骨形態計測による蝶形骨底部の骨添加について調べた.群間の比較は, Student t-testを用いて統計学的に行った.頭部X線規格写真分析の結果, 液状飼料飼育群の上部内臓頭蓋は固形飼料飼育群と比較して前上方に変位していた.群間の蝶形骨底部と後頭骨の前後径に有意差はみられなかったが, それぞれのなす角度が異なっていた.頭蓋骨の前後径において, 液状飼料飼育群の下顎窩は, 固形飼料飼育群よりも前方に位置していた.組織学的骨形態計測の結果, 液状飼料飼育群では, 蝶形骨底部の内側板外面部の前方部および後方部ともに骨添加量は少なかった.以上の結果より, 成長期ラットにおける食物物性の違いは, 頭蓋底の前後的な成長変化よりも垂直的な成長変化と関係があることが示唆された.

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