歯科診療の場における禁煙支援活動およびその障壁についての調査研究

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  • Smoking Cessation Practices and Barriers in Dental Practice

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抄録

わが国における口腔保健医療従事者による喫煙対策の推進を図るため,歯科医師の喫煙習慣,喫煙に関する知識,患者の禁煙支援の活動実態およびその障壁について調査を行い,日常診療への禁煙プログラムの導入について検討した。某大学同窓会会員歯科医師における調査(回答者545名,回収率70.6%)では,喫煙率は男性28.7%,女性1.6%であり,男性の29.8%は元喫煙者であった。喫煙関連疾患の知識は全体的に低い水準であったが,口腔癌は約65%,歯周病は約42%の歯科医師が喫煙と関連があると答えた。喫煙習慣の問診は約65%,喫煙の害の助言も約40%の歯科医師が行っており,この割合は,口腔癌と比べて,歯周病の知識を有する者が高かった。喫煙問題に関心が高い日本禁煙推進医師歯科医師連盟の歯科医師会員を対象とした調査(回答者67名,回収率78.8%)では,禁煙支援活動のうち喫煙者に共通な行為は約80%の者が行っていたが,個々人の内容に踏み込んだ支援行為は少なく,また,「紹介機関がない」,「患者の抵抗や不満」,「患者教育のための教材がない」,「時間がない」ことなどが障壁と認識されていた。しかし,禁煙支援のトレーニングを受けた歯科医師では,禁煙支援の日常化の程度が高かった。以上のことから,歯科診療の場において禁煙支援を日常的に行うためには,喫煙と歯周病との関連等の啓発および禁煙支援のトレーニングが重要であることが示唆された。

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