化学重合レジン添加型グラスアイオノマーセメントの歯科矯正用ボンディング材としての臨床的評価 : DBS 患者におけるブラケットの脱落率, ディボンディング時の疼痛と歯面の性状について

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  • Clinical evaluation of the chemically cured resin-modified glass ionomer cement as an orthodontic bonding material : Incidence of bracket failure during treatment, pain reaction and enamel surface appearance at debonding

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抄録

DBS患者のブラケット接着に対し, 化学重合レジン添加型グラスアイオノマーセメント(FO)とレジン系接着剤(SB)を同時に使用し, 治療期間中のブラケット脱落率とディボンディング時の歯の疼痛や歯面への接着剤残留の程度を比較検討することが本研究の目的である.研究対象は昭和大学歯科病院矯正科外来において, DBSにて治療をし, 保定に入った24名の314歯である.ボンディングに際しては, 上顎の片側にFOを, 他側にSBを用い, 下顎では左右で用いる接着剤を入れ換え, ブラケットは小臼歯部ではメタル(ME), 前歯部はMEまたはセラミック(CE)とした.ブラケットの脱落率は「累積脱落歯数÷総接着歯数÷来院回数×100(%)」として算定し, ディボンディング時の歯の疼痛をVAS法により評価し, 歯面への接着剤の残留状況を肉眼的ならびにデジタル顕微鏡にて観察し, 以下の結果を得た.1. FOのブラケット脱落率はSBよりわずかに大きく, 前歯部の脱落は小臼歯部よりやや大きい傾向がみられた.一方, CEの脱落率はMEに比べてかなり低かったが, いずれの比較でも統計学的有意差はなかった.2. ディボンディング時の歯の疼痛(VAS値)に関して, FOはSBより有意に低く, また, MEのVAS値もCEに比べて有意に低かったが, 前歯, 小臼歯間のVAS値に有意差はなかった.3. ディボンディング後の歯面に残留した接着剤は, FOにおいてSBよりも有意に少ない結果となった.以上の結果より, FOは矯正用接着剤としてSBと変わらぬ接着力を有し, ディボンディング時の疼痛や歯面への残留物はSBより少ないことが示され, 矯正臨床において有用な接着剤であることが示唆された.

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