感圧型咬合シートによる歯の疼痛の簡便な判定法 : マルチブラケット装置装着に伴う痛みとレーザー照射による除痛効果

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical application of a pressure-sensitive occlusal sheet for tooth pain : Time-dependent pain associated with a multi-bracket system and the inhibition of pain by laser irradiation

この論文をさがす

抄録

歯の疼痛を測定する方法には従来から主観的方法と客観的方法があり, VAS法は前者の典型例である.われわれは以前, 矯正治療に伴う歯の痛みに対するソフトレーザーの局所照射の除痛効果を報告した.本研究の目的はVAS法によって記録された矯正治療由来の疼痛と, 感圧型咬合シート(プレスケール)によって測定された咬合力との相関関係を検討することである.さらに, マルチブラケット装着患者の歯の疼痛がレーザー照射で抑制されることがプレスケールを用いて判定できるかどうかを考察したい.研究対象は, 昭和大学歯科病院矯正科にてマルチブラケット法を計画した18歳以上の男性8名, 女性15名であり, 非照射群, 偽照射群, 照射群の3群に分類された.非照射群ではイニシャルアーチワイヤー挿入直後と挿入1, 6, 24, 168時間後にプレスケールを用いた最大かみしめで咬合接触面積, 咬合力, 平均咬合圧の測定を行い, 歯の疼痛はVAS法にて記録した.他の2群についても上記と同一の測定をイニシャルアーチワイヤー挿入直後と挿入24, 25時間後に行った.照射群では1歯当たり3分のソフトレーザー照射をイニシャルアーチワイヤー挿入24時間後と25時間後の間に行い, 偽照射群では同様の手順をレーザー偽照射で行った.プレスケールで測定した咬合接触面積や, 咬合力とVAS値との間には負の相関が認められ, 疼痛の発現により咬合力や咬合接触面積の低下が示唆された.プレスケールで測定した咬合接触面積や咬合力とVASとの負の相関は, イニシャルアーチワイヤー挿入24時間後のレーザー照射直後においても認められた.レーザー照射前後の咬合接触面積や咬合力ならびにVAS値はいずれも統計学的有意差がみられたが, レーザー偽照射ではいずれの項目にも変化はなかった.以上の結果より, プレスケールは矯正治療に伴う疼痛閾値の判定に際して臨床的に有用であることが示唆された.さらに, プレスケールはレーザー照射による歯の疼痛の抑制効果を評価することにも利用できることが判明した.

収録刊行物

被引用文献 (7)*注記

もっと見る

参考文献 (38)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ