下顎非対称を伴う骨格性下顎前突症の咀嚼運動経路の特徴 : 顎顔面・顎関節形態および咬合状態との関連性

  • 友寄,裕子
    東北大学大学院歯学研究科発達加齢・保健歯科学講座顎発達・咬合形成学分野
  • 萬代,弘毅
    康本歯科クリニック
  • 菅原,準二
    東北大学大学院歯学研究科発達加齢・保健歯科学講座顎発達・咬合形成学分野
  • 三谷,英夫
    東北大学大学院歯学研究科発達加齢・保健歯科学講座顎発達・咬合形成学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Characteristics of chewing path in skeletal Class III patients with mandibular asymmetry : Relationship between facial skeleton and temporomandibular joint morphology and occlusion

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抄録

本研究の目的は, 下顎非対称者の咀嚼運動経路の特徴と顎顔面・顎関節形態や咬合状態との関連性について検討することである.研究対象は, 下顎非対称を伴いかつ顎関節症状を有さない骨格性下顎前突症19例である.咀嚼運動は下顎運動測定装置(シロナソグラフ・アナライジング・システムII)を用いて測定し, 顎顔面・顎関節形態は正面頭部X線規格写真および軸位X線写真の透写図を用いて評価した.結果は, 以下の通りであった.1. 本研究対象者の咀嚼運動経路は, オトガイ偏位側(以下, 偏位側とする)およびオトガイ非偏位側(以下, 非偏位側とする)の咀嚼運動経路最下点の偏位方向や偏位量の相違, 咀嚼幅径の相違に応じて, 4つのパターンに分類することができた.2. 4つのパターンの中で, 非偏位側咀嚼が偏位側咀嚼と比較してより咀嚼側方向に偏位して開閉口するパターンと, 偏位側咀嚼が非偏位側咀嚼と比較してより咀嚼側方向に偏位して開閉口するパターンは, 対照的な咀嚼運動経路を示していた.これらのパターンは下顎頭長軸角の特徴においても対照的であった.前者のパターンは, 非偏位側の下顎頭長軸角が偏位側の下顎頭長軸角と比較して急傾斜であるのに対し, 後者のパターンは, 非偏位側の下顎頭長軸角が偏位側の下顎頭長軸角と比較して緩傾斜であった.以上の結果から, 本研究対象者の咀嚼運動方向の非対称性は, オトガイ偏位側や咬合状態と関係なく, 下顎頭長軸角の非対称性と関連していることが示唆された.

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参考文献 (47)*注記

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