Flow Cytometry による成人精巣胚細胞性腫瘍の核DNA量の検討

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  • FLOW CYTOMETRIC ANALYSIS OF DNA CONTENT IN ADULT TESTICULAR GERM CELL TUMORS

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抄録

成人精巣腫瘍の各組織型 (セミノーマおよび非セミノーマ) に対し, その核DNA量およびDNA heterogeneity の有無についてパラフィン包埋標本を用いて flow cytometry による解析を行い, 臨床病期分類および組織型との関係について検討した.<br>1) 組織型にかかわらず成人精巣腫瘍の96%の症例がDNA aneuploid を示した.<br>2) 臨床病期とDNA index (DI) との関係についてみると, 日本泌尿器科学会臨床病期分類によれぼ特に有意の関係は見られなかったものの, Indiana University staging system に従えば, いまだ予後不良とされる advanced extent 症例はそれ以外の症例に比べ median DI値は小さい値を示した.<br>3) 組織型別のDI値は, 臨床的な悪性度がより高いと考えられる非セミノーマが比較的悪性度の低いと考えられるセミノーマに比べ有意に小さかった (p<0.01).<br>4) 精巣胚細胞性腫瘍ではDNA heterogeneity が証明される頻度はセミノーマを含めた全体で15%, 組織学的に heterogeneous な複合組織型に限っても21%と他の固形腫瘍に比べ低かった.<br>5) 精巣腫瘍のDNA ploidy pattern は他の固形腫瘍とはやや異なる特徴を有し, 今後DNA flow cytometry は胚細胞性腫瘍の病理発生を知る上でも有益な知見をもたらすものと期待された.

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